Ｔ夫人の決断の巻

携帯がなる。 休日の不意の着信は不吉な予感を運んでくる。 着信はナオちゃんから。 何事か？とびくびくしながら出る。 「あ、しろさん、Ｔさんが辞めるって知ってました？」 「次（転職先）が決まったら辞めたい、とは聞いたけど。」 「今日、もう辞めるって店長に話したらしいですよ。」 「聞いてないよ。またえらく速攻だな。店長もショック受けてたろうな〜。」 「すぐ帰っちゃいましたよ。ヘコんでました。」 「そりゃそうだろ。」 Ｔ夫人はＦ屋勤務５年のベテラン。新店出店にあたり前の職場から私と一緒に転勤になった人だ。 いい人なんだが・・・。 不平不満もやたらと多い人でもある。 新店勤務になってから仕事量も増え、なおかつ他の新人パートと待遇があまり変わらないということでずっと「辞めてやる」を連発していた。 （５年も勤めてるのに特別扱いしてくれてもいいじゃないか）、というのが彼女の言い分。 今時は年功序列ではなく能力給が当たり前なのだが、彼女に言わせると、入社１年チョイの私と時給が同じってのも気に入らない理由の一つであるらしい。 なんにせよ詳しいことは何も解からない訳なので、月曜日を待ちたいと思う。 店長の反応がちょいとコワいのだが・・・。