店長の穴

エピソード14 重箱の隅を突付く人２
　

この夏もやってきました、例の店舗チェック。
今回訪れた人は只者ではなかったのだ。

　「もうそろそろ（チェック人が）来るころですよね～」
６月から始まったチェック期間ももう２ヶ月経過。慌しい夏休み期間中話をしていた。
いつものように定時に上がり帰宅。
しばらくしてシフトインのフリーターからメールが。どうやら私が帰った後の夕方に件のチェック人が来店したらしい。
メールの内容からするとかなりな「チェック」を入れられ、相当ヘコんだらしい。

翌日、休憩室に張り出してあったチェック表のチェック人の名前を見て「なるほど」。
懐かしい「Ｔ中」氏のサインがあった。
この「Ｔ中」氏、オープン時の研修の指導員で、それこそ本当に「重箱の隅を突付く人」なのだ。

しばらくして出勤したフリーターに昨日の様子を聞くと、本当にカウンターに指をす～～・・・と走らせ埃のチェックをしたらしい。（ひょえ～～）
細かいチェックにもうひとりのフリーターが「今日は忙しかったので。いつもはやってます」と彼に言ったところ、
　「オレに言い訳するなんて（いい度胸だ）」と言われ、鼻も引っ掛けられなかったらしい。

さもあらん。
なにせ研修時、遅刻した挙句研修マニュアルを忘れてきたバイト君をその場で解雇したつわものなのだ。
　「オレに言い訳・・・」うんぬんの発言は一体いつの時代の漢なんだよ、と少し嘲笑ものだが、確かに上司の注意に言い訳するほうもするほうだ。いつもの調子で（店長をあしらうごとく）カルいノリで話し掛けたんだろうけど、普通の反応はこんなもんだ。
普段いかに他の「目上の者」が寛大に対応してるかということである。普通の会社ではフリーターが店長に直接、賃上げ交渉や寸志（ボーナス）の値上げを抗議したり、経営や雇い入れに関することに口出しをしたりしない。（よほどのことがない限り）

相手が悪かったねと励ましつつも、実際は「そんなもん」だいつも世の中をナメすぎなんだヨ、と少しいい気味だったともうひとりの私は思っておったのである。