店長の穴

エピソード１０　奇人達の晩餐会
　

という映画があったような・・・（笑）

晩餐会ではない。ウチに来るお客の大半は食後来店される。
とは言うものの、このクソ寒いのに（失礼）朝っぱらから（またまた失礼）アイスを喰う（これまた失礼）。
本音を言うと、そういう人たちの気が知れない。まったくわからない。雪降ってんだよ、外は。
まあそれはいいのだ。
問題はほかにあるのだ。

さて、いつものごとく怒涛の年末年始。一体何処から湧いてくるのかというほどの人、人、人。
正月くらい家でおとなしくしとけよ、と心の中で去年と同じ悪態を吐きながらの仕事。
嗜好品なハズのアイスを買うのに殺気立つお客の列。喰わなきゃ死ぬのか？　そんなに腹がへってるのか？　
このときばかりは、ニュースで流れる不況は何処へやら、２００円そこそこのアイスを買うのに飛び交う万札。
にわか金持ちになったお子様の尊大な態度に半ばキレながら、しかし“教育的指導”を出すヒマもないほどの忙しさ。

こういうときに限って、ちょっとイっちゃってる母親とかが来店する。
混雑している中、子供の背中をぐいぐい押して、人ごみをかき分けさせて平然と順番を無視する。
待っているのは大人も子供も男も女も一緒なんだから、例外などない。したがっておとなしく待っていただくことになる。
いくら目の前に黒い頭が見えていようとも。
「ごめんね～ボク、順番だからもうちょっと待ってくれる？」
子供のずっと後方にいる母親の、怒りを含んだ視線を感じつつにこやかに応対。
子供を「道具」に使う母親に怒りを感じながら今日も一日が過ぎていくのであった。