穴の穴

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私事で時々夜に運転することがある。

私の住んでいるところは田舎なので、９時を過ぎると点在する信号機はほとんど点滅信号になる。街灯もなく静寂に包まれた町はちょっとしたゴーストタウンのようだ。
そんな暗闇の中、時々空中で揺ら揺らする青白い光を見かけることがよくある。それもひとつだけはない。
これは怪奇現象でもなんでもない。
ウォーキングしている人々の懐中電灯の光なのだ。
懐中電灯だけではなく彼らが架けているたすきも青白く光っている。蛍光が施してあるたすきなのだ。

こんな時間に、しかももう肌寒いこの時期に夜間ウォーキングをする人の気が知れないが、彼らは大抵３〜４人のグループだ。年齢は５０代といったところか。男性も女性もいる。
ウォーキングするのは悪いことではないが、信号もなく自動車もほとんど通らないということからか実に堂々と横一列に並び車道を歩いて下さるのだ。
当然ドライバーであるところの私は、いきなりライトに浮かび上がる青白い光の群れに肝を潰すわけである。

思うに「交通事故防止」の為の懐中電灯でありたすきであるわけだが、だからといってわざわざ車道を歩かんでもええではないか。
おそらくこの光る人たちは毎日車道を占領しつつ、健康増進に励んでいるのであろう。
いっそ電飾ぴかぴかでウォーキングして欲しいものである。